美術たんけんたい 玉縄幼稚園 年中クラス

カボチャをテーマに立体制作の提案。今回は臨床美術のプログラムを採用しました。導入で五感を刺激するようなアプローチを試みることが一般的な臨床美術。

カボチャをフルに感じるにはどうすればいいだろうか?と考えていました。

やはり一番は重さだろうなあ、あと表面のざらっとした感じと、割ると中身の色が思いのほか鮮やかで水分が滲んでくるなあ、匂いは青臭い。などと脳内でグルグル。最終的にはいつも、参加者さまへ委ねよう!となるんですが。

テーブルにどかーんとカボチャを置いておきました。

探検隊たちは眺めていました。

持ち上げてみよう!と一つずつ手渡してみると、両手で持って頭の上に掲げるポーズが流行りました(笑)力持ち自慢のように。4歳にとってはまあまあの重さです。

割って中身を確かめました。

匂いを嗅ぐと「スイカの匂い!」

そのあと、参考作品を見せてみるとそれも持ち上げてみていまして、

「軽いね〜!」「うん、軽い!」と言いながら片手に一つずつ持って自慢げ。

そしたら思いもよらない疑問が探検隊から飛び出しました。

「どうして軽く作ったの?」

おおおお!!なんという発想!そして、どうしてだか正直わかりません。なので、当然答えられません。だから、「なんでだろう?はとちゃんもわからない。。。」と言うしかありませんでした。

確かに、重いよね〜とか言って、散々量を感じていながらね。。。

この年代の方たちの質問は素朴過ぎてはっとさせられます。

氣を取り直して、制作に。

新聞紙を丸めて塊を何個も作ってそれらを合体させると説明。

すると、またハプニングといいますか、え!?と驚かされます。

ち、ち、ちっさ!!塊には違いない、だけど、小さい。

カボチャが重いとか中身が瑞々しかったね、と言っていた時間はすっかり過去のことになり、それとは切り離されたように制作に集中する探検隊たち。

新聞紙、和紙、糊、筆、と、興味はどんどん移ります。

最終的には、軽〜い感じの作品に仕あがりました😉

美術たんけんたいで大切にしている五感。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。

「音色」や「風の香り」「光の静けさ」

聴覚を視覚的に、触覚を嗅覚でなど、日本ならではの表現でしょうか。共感覚というそうですが、音に色がついて見えるなど特別な感覚を持っている方もいらっしゃるようです。

造形クラスの中では、そのような1つの感覚を題材にしながら別の感覚を呼び覚ますような仕掛けを多用しておりますが、昔の人たちはそれを日常的にやっていたのだろうと想像するととても豊かな印象を持ちます。

感じたことをその時そのまま言葉にしたり行動に移すことは私には勇気が必要。なぜならばそこに理由が必要だと思い込んでいる節がありそうだからです。前後関係を意識し過ぎるというのかなあ、予測してしまうというか。他者の視線を意識もしています。

一方で、探検隊たちを見ていると、さっきカボチャが重かったのと新聞紙を丸めて塊を作る面白さとは同等でただ並んでいるだけで、それらから感じたことを感じたまま受け取るエネルギーはいつも100%で、新聞紙がどうなろうとカボチャとは関係なさそう。深いところではつながっているとは思いますが。

共感覚もまさにそうで、なぜそう感じるのかは説明できないのでしょう。

そんなことを考えていたら、

理由なんて説明しなくていいのかもなあ。と思えました。

自分の感覚を信じて。