大西宏美 おおにしひろみ

原風景__自然と表現のはじまり

都市育ちの両親のもとに生まれ、滋賀県大津市の田舎で育ちました。
山で筍を堀り、野いちごを摘み、田んぼでザリガニを捕まえる。
自然の中で、思う存分遊ぶ日々を過ごしていました。
田舎を知らない両親に、身近な自然を伝える役割を、
無意識に担っていたのかもしれません

一方で、ものをつくることが大好きで、
家の中では何かをつくることが日常でした。

この頃の「感じる・つくる」という感覚が、
今の活動の原点になっています。

違和感の中で選んだ道

高校生になり進路を考えたとき、美術系への進学を希望していました。
しかし周囲の意見に影響を受け、美術への憧れを抱えたまま建築学科へ進学します。

大学では建築に魅力を見出せず、アルバイトとスキーに没頭。
就職活動にも身が入らないまま、バックパッカーとしてヨーロッパを巡りました。
帰国後、流れに身を任せるように中堅住宅メーカーへ就職しますが、
大量生産の住宅市場と、図面だけで家の売買が成立する現実に強い違和感を覚え、5年で退職。
人生で最初の大きな分岐点に立つことになります。

問い直し__建築から人へ

「建築とは何か」「住宅とはなんだろう?」。
あらためて立ち止まったとき、神楽坂建築塾に出会いました。

そこに集う建築家たちは、建築を超えて人生の哲学を語る人たちでした。
その姿に大きな衝撃を受け、今の私の礎となっています。

その後、地域工務店に再就職し、木造伝統工法の現場に携わります。
大工、左官、建具、畳、瓦ーー
それぞれの世界観と技を持つ職人たちと仕事ができたことは、
人生の宝物です。

しかし在職7年目、工務店が倒産。
転職先の設計事務所勤務が3年を過ぎた頃の2011年6月、
母の脳梗塞をきっかけに介護が始まり、
父を支えるため、建築の仕事を離れる決断をしました。
二度目の人生の分岐点でした。

表現が人をひらくと知ったときから、現在へ

心の奥に残っていた美術への思いから、臨床美術と出会います。
また、趣味で携わっていたプレイバックシアターや、
子育ての中で参加していた美術鑑賞のワークショップの考え方が、
臨床美術の本質と深くつながっていることに気がつきました。

同じ頃、長年描きためていた住まいの間取りイラストを、
「空間に宿る時間や記憶の表現」として公開し始めました。
建築と美術、どちらにも属しきらなかった表現が、
人と向き合う活動へと自然につながっていきました。

そこから人生のパズルが噛み合うように、出会いが重なっていきます。
幼稚園や保育園での造形活動、地域でのアートワークショップなど、
美術が仕事として立ち上がっていきました。

現在は、アートを通して感覚をひらき、
人が「自分に還る」ための場づくりを軸に活動しています。
自身の実践を通して、人の在り方を問い続けています。


1972年東京生まれ、横浜市在住。

  • 1994年 千葉大学工学部建築学科卒業
  • 一級建築士
  • 美術検定一級・アートナビゲーター【一般社団法人美術検定協会認定】
  • 臨床美術士【日本臨床美術協会認定】
  • 横浜シュタイナー学園で学ぶ教員養成講座第二期修了
  • シュタイナー美術教員養成講座・基礎コースⅦ期修了
  • 創造的指導者養成講座「レッジョ・エミリア・アプローチを知る」基礎編および応用編修了【NPO子どもARTプラットフォーム】
※「臨床美術」及び「臨床美術士」は、日本における(株)TOPPAN芸造研の登録商標です。